今夜の花火終わるまで

関ジャニ∞が好きな人のただの日記です。

関ジャニ∞新アルバム「ジャム」レビュー

6月28日 関ジャニ∞1年7ヶ月ぶりの新アルバム「ジャム」が発売となりました。有名アーティスト・プロデューサーの方々からの楽曲提供や、メンバー自身の制作曲など聴きごたえたっぷりの1枚です。それにあたり、とてつもない個人的解釈でアルバム「ジャム」のレビューを書きました。(レビューと言えるようなものでもなく、語彙が壊滅的です。)

 

1. 罪と夏

2016年夏の関ジャニ∞決定版。この曲無しには関ジャニ∞の夏は語れません。サングラスに派手なアロハシャツを羽織って、プールサイドに現れた7人の罪な男たちがすぐに浮かんできます。「「思い出」じゃなくて「好き」になってよ」「今、君の八月の全てくれないか?」「君が一夜限りの幻でも 手を放すなよ?」というキラーワード連発っぷり。間違いなく8月以外の残り11ヶ月もあげたくなる名曲です。
ジェットコースターのような曲調に加えガヤや合いの手が多用されていて上昇気流に乗るような盛り上がり方をしている一方で、一夏の中の簡単に逃げてしまうような淡い恋が描かれているのが大きなギャップ。チャラチャラした恋の歌かと思いきや、「誰かじゃなくて僕に笑ってよ」「君が今選ぶなら「そりゃ僕だぜ?」…とか無理だしな」と途端に一途な表情見せるのがこの罪と夏の最大の落とし穴。ここにハマってしまうともう7人の色男から抜け出せません。「N・A・T・S・U-K・O・I!夏恋!」のパンチ力、破壊力たるや。
一つだけ譲れないとしたら、関ジャニ∞は真夏のみならず年中無休で罪という点のみです。

 

2.今

ニセ明さん提供「今」。
突き抜けるような爽やかさもあり明るい色味が似合う曲調。都内の屋上や沖縄で撮影されたMVで、関ジャニ∞が笑顔で楽しそうにはしゃいだり手話を使ったダンスを踊っていたりと見所盛り沢山な内容。歌番組での披露回数が多く、またニセ明さん提供曲、振付稼業air:manさん振付ということで話題性も抜群です。振付稼業air:manさんより前に進むシーンはクレージーキャッツをイメージしたと言われていましたが、これ以前にもニセ明さんのお友達の星野源さんが「関ジャニ∞クレージーキャッツのオマージュ。クレージーキャッツやればいいのに!」と話されていた事がありました。この奇跡が凄い。やはりクレージーキャッツに通ずるものがあるらしい関ジャニ∞
「いつまでも此処に居たいけれども 旅立つ夢を見てしまったことを」「さよなら またいつか 会うまで」「未来を越える 今 今 今」
関ジャニ∞が新たな何かに向かって動き出そう歩き出そうとしている、そんな様子がサビから感じ取れます。いつだって関ジャニ∞にとっての「今」は一瞬の間に過ぎ去ってしまって振り返る間もない、それでも未来に向かって、未来を越える「今」を走るしかない、というメッセージが伝わってきます。こんなに明るく歌い上げているのに、どこか関ジャニ∞の強い意志を感じる。笑顔を見ていると泣けてくる、感情を揺さぶってくる1曲です。
明るいだけではなくて、何故かほんの少しだけ寂しさも切なさも感じさせるのは、サビがディズニーのピノキオ「星に願いを」の一部分と同じメロディーだからというのが理由かなと思っています。

 

3.DO NA I

曲がどタイプです。いしわたり淳治さん作詞、蔦谷好位置さん作曲編曲という贅沢にも程がある製作陣が、関ジャニ∞にとびっきりの素敵な曲をくれました。頭が上がりません。
「俺の好みのYouとYou」で場内を沸かせ「いや あの子俺に夢中」で自分に夢中な子を把握し「どきな 主役が総取り」で漏れなく全員掻っ攫っていき「やばい…Pretty Girl 目が合って動けない 」でドキッとさせる。渋い歌い出しのメロディー、ピタッと時が止まるようにリードボーカルが変わるたびに一瞬音が止まるのも緩急がついていて、聴いていてドキドキします。メロディー・歌詞ともに1ミリも隙がない。関ジャニ∞の魅力ってとっつきやすいお兄ちゃんという第一印象を与えながらも、周りの人の懐にいつの間にか入っていってしまう、気付けば周りを惚れさせて骨抜きにさせる、一種の「人誑し」なところにあるのだと思っています。そんな魅力が余す所なく表現されているのが、このDO NA Iです。
「長い月から金の出口のない」という表現が秀逸で、終わりの見えない仕事ややるべき事が山積みになった「イイトコなしのEveryday」から「助け出すぜ 必ず」「冷めたハート融かして抱きしめたい」「暗い顔はよしなよ」と非日常の楽しさへ連れ出してくれる。
蔦谷さんが「古いんだけど新しく感じるサウンドにしたい」と話しておられたように、80年代の音楽の中に関ジャニ∞の新しい一面が光る。その中でも「関ジャニ∞の声は混ざりが良くて立ちが良い(蔦谷さん)」と、関ジャニ∞の個性も混ざりも楽しめる。パーティーチューンで、ラップもハモりもシャウトもファルセットも色んな要素を詰め込んだ、スポットライトが煌びやかな世界から手を伸ばして「いまTake You!」と歌う。
まさに、そんな関ジャニ∞、どない?です。

 

4.なぐりガキBEAT

映画「破門 ふたりのヤクビョーガミ」主題歌として、1月に発売となったシングル。トランペットから大人な雰囲気でしっとりと始まり、スカサウンドと「Hey!」の合いの手でスポットライトの色がパッと変わったように、一気に見せていた表情が変わる曲。
ただスカサウンドが楽しく響くだけではなくて、「言い訳と弱音をやめたら あとはドアを開けるだけ」「高らかに夢を明日へと掲げろ」「無様に咲いた泣きっ面に新しい風が吹く」「ガムシャラにもがくその手に『きっかけ』の糸がかかる」とやられっぱなしの状況を打破すべく奔走する最高の強がりソングです。虚勢を張る男の歌を歌わせたら一流の関ジャニ∞が、等身大の強気をぶつける1曲。この世の本音も嘘も建前も、情も駆け引きも、1枚のドアを蹴飛ばすような勢いでそのまま踏み倒していく、疾走感のあるサウンド。
格好良いも格好悪いも捨てて走り抜けていく関ジャニ∞を堪能するならこの曲。

 

5.夢への帰り道

BEGINさん作詞作曲の提供曲。ギターとブルースハープとピアノで始まる優しい音色が、夕焼けなのか朝焼けなのか暖かく滲んだオレンジ色を連想させる曲。歌い出しの倉丸の糖度100パーセントの歌声が染みます。「やがてあけゆく ねがわずあるく」「わかれはつらい それでもゆく」「あいのようだと つよくおもった」「きみのえがお きみのなみだ」殆どの歌詞が平仮名で表記されていることで、感情や気持ちが乗せやすく歌っている情景が浮かびやすいなと感じました。
優しくて、歩幅もテンポもバラバラな7人が一歩一歩を確かめて踏み締めて歩いていく後ろ姿が映るような景色が見える、何も考えずに余計な力を抜いて聴いていたい1曲。関ジャニ∞の優しい歌い方って個人個人で全く違うのですが、それがハモりやユニゾンで重なった時、パズルが全てハマった時のような、何とも言えない気持ちよさがあります。これがDO NA Iの時にも書いた、蔦谷さんの言う「混ざりが良くて立ちが良い」関ジャニ∞の声の魅力なのかなと。こういった静かなバラード曲になると、その魅力がより一層引き立ちます。
全員が30代となり大人になった今だからこそ、今のタイミングだからこそ歌える1曲。

 

6.えげつない

岡崎体育さん提供楽曲。始まりから一秒でテンションをMAXまで持っていき、直感で「この曲にハマる」ことを予感させるイントロです。「しっぺ デコピン 馬場チョップ」という懐かしい言葉の並びに「手ッギュ 壁ドン 投げキッス」という組み合わせ。酸いも甘いもを「酸いもsweetも」、えげつないを「I get to night」へ言い換えるなど、語呂が良いのでリズムとしても歌詞が覚えられて楽しい曲です。
関ジャニ∞を偏西風と捉えて「一筆で描いた二つの円(無限大マーク)は大団円になって乱気流を超えていくんだ」と、関ジャニ∞という偏西風は最高の形でフィナーレを迎え、やがて乱気流を超えるという大きな野望のようなものが詰まったサビも最高です。
何と言ってもこの曲の目玉は関ジャニ∞フリースタイルラップバトル。岡崎体育さんがファンがまとめたエピソードを元に信憑性の高いものを今回のラップバトルの歌詞にしたとの事ですが、本人達が突かれて痛いところまでネタにされているので、抜粋内容がえげつないチョイス。褒めてます。
半笑いを浮かべながら頭上から罵る「コロコロかタウンページ足元に敷いたろか?」VSナチュラル巻き舌・貫禄の尼出身「お前のファンサはそもそも甘え」のバリバリやり合う倉安、溜息が聞こえてきそうな「免許証の再発行は7回目 老後が心配」VS結局渋谷さんには優しい「食えへんくせにようけ頼むな 俺が残りもん食うたってんねん」の凄まじい睨み合いとは名ばかりの優しさで溢れかえる横すば、キャンキャン噛み付く「言いたい事があるならオイ何か言うてみぃ丸山ァ!」VS初っ端から勢いに負けて後ずさり「だって…亮ちゃん怖いねんもん…」のTHE ほほえみコンビの日常風景。これが関ジャニ∞なんですありがとうございます。
個人的に「大倉、ヤスの部屋ってどうなん?」という横山さんからの問い掛けに「ヤスの部屋?ボロクソ汚い」「湯船に麦茶みたいなの沸いてる」「掃除機もかけてない」のレコメンネタが好きなので「部屋も汚い」が入っていて嬉しかったです。
岡崎体育さんの遊び心と、関ジャニ∞の全力で乗っかる姿勢が完全に相乗効果をもたらしています。フリースタイルラップバトルの後ろで流れている音もオシャレで素敵。
岡崎体育さんと関ジャニ∞の相性最高では?是非次回作もお願い致します。

 

7.パノラマ

アニメ「モンスターハンタートーリズ RIDE ON」主題歌。物語が始まるような高揚感に満ちたイントロに、もはやコンサートではお馴染みとなった可愛い決めポーズが脳裏に浮かびます。思わず走り出したくなるテンポの良い曲調に、躍動感のある歌詞。
「勇気の一歩踏み出せたら もう1人じゃない」「大事な人守る為に いざ立ち上がれ」「導く “終わらないストーリー”」
歌っているのは30代の成人男性グループなのに、どこか少年の表情や声音を感じさせるキラキラした部分が随所にあります。どんな大人も必ず夢を見ていた幼い頃があったことを思い出させるような、年齢問わずもう一度大切なものを目指せるような、そんな宝探しのような曲です。
個人的には関ジャニ∞って、懐かしいものを思い出させてくれる、振り返らせてくれる、大切にしていたものをもう一度手の中に戻してくれる歌を歌うアイドルだと思っています。

 

8.Never Say Never

安田章大という人の才能に無抵抗で殴られる。そういう曲です。曲から歌詞から構成から細かいライミングまで天才の所業。
「Never Say Never」(絶対に諦めない、可能性はある、絶対出来ないなんて言わない)。まるでこの曲を作った人のことを指すみたいですが、きっと本人は無自覚なのだろうと思います。まず曲構成が格好良い。ドラムから始まり歌い出しのちの無音、Are you HERO?からのイントロ。痺れるしかありません。歌詞について、ライミングの1例ですが、
「time(a-i) after time,(a-i)
CRY(a-i)して塞い(a-i)でもTRY(a-i)する価値(a-i)がある
アレンジ(a-e)してchallenge(a-e)してdamage(a-e)食らって(a-e)もimage(e)する
タフなguys(a-i)だって
TRY(a-i)して逃げ出し(a-i)ては喰らい(a-i)ついたって話(a-i)さ
繰り返し挑めばい(a-i)つかsuccess story」
1番サビで「success story」を歌っていた箇所を2番サビでは「作戦通り」に。冒頭で「Are you HERO?」と問い掛けていた事に対して、曲終わりで「I'm HERO」ときちんとケリをつける。歌詞やメロディーの細部まで手を抜かず、やりたい事を最高の形で曲に乗せている安田くんの才能に脱帽です。
大サビ前の「I wanna be out of reach of you someday」(いつか君の手の届かない所にいたい)については、もうとっくに雲の上にその才能がある気がしています。曲の締めにスイッチオフのような音がしているのも味があって素敵です。

 

9.侍唄

レキシ池ちゃん提供曲。ギターで始まる切ないイントロと、亮ちゃんの優しい歌い出しとそれを包み込むようなバンド、ストリングス。歩くような緩やかなテンポで曲が進んでいき「約束の場所へ」「いつかまた逢える場所へ」というハモり部分でさらにグッと深い場所へ引き込まれます。
侍のような真っ直ぐで揺るぎのないラブソングは、一見壮大なようで、実は等身大の思いの丈なんだと思います。「おかえりって キミが笑うから どの時代も越えて行けるよ」からも分かるように、どの時代であっても等身大の思いは変化しないものなのかなと。それが今回たまたま平成という場所で関ジャニ∞が歌う、侍唄なのだと。優しくて強くて、ちょっとだけ不器用な、関ジャニ∞の侍スピリッツの上に成り立つありのままの愛の唄です。聴いた者を少しだけ強くさせる、背中を押してくれるような、そんなレキシと関ジャニ∞の化学反応がとてもハマる。

 

10. S.E.V.E.N転び E.I.G.H.T起き

UNICORNさん作詞作曲の提供曲。シンプルな構成ながらも、曲調や、これぞ!なロックサウンドの格好良さはさすがとしか言いようがありません。関ジャムで即興で作られた「かきまZ」があまりに格好良かったのは記憶に新しいですが、今回の楽曲提供もUNICORNさんの味と関ジャニ∞の味が見事に融合しています。
軽快なメロディーラインとリズムを追いかけるように、声を揃えたタイトル名「S.E.V.E.N転び E.I.G.H.T起き!」の掛け声が続き、ユニゾンとハモりが混在する、関ジャニ∞のがむしゃらで底抜けに明るい、突き抜けた笑顔が浮かぶ1曲。1.2.!1.2.!と合いの手を入れやすく、親しみやすい且つ盛り上がりやすいのもこの曲の持ち味だと思います。曲を歌っている姿を想像しやすいというのは、聴き手が曲を聴くにあたってとても大切な要素だと思っているのですが、この曲はものすごく頭にその姿が浮かぶんです。
泥だらけでも、何回転んでも凹んでも、殴られても、また立ち上がって何事も無かったかのように傷だらけの顔で笑う姿が。そんな強くて痺れる関ジャニ∞の、エイトのビートを響かせる、そんな曲です。

 

11.NOROSHI

関ジャニ∞の真骨頂が発揮された曲だと思っています。去年の年末、バンドとして歌番組でNOROSHIを披露する機会が多かった為、「関ジャニ∞がバンドをする」という認識がだんだんと世間一般に広がる後押しをした曲、そういう印象です。勿論それまでにも何度もバンドでテレビには出ていて認識はされていたと思いますが、技術的にも申し分ない実力をつけて、安定感とともにそのテクニックや成果を見せつけた姿はまさに「関ジャニ∞が狼煙を高々とぶちあげた」瞬間でした。
スネアとベースという最高に痺れる組み合わせから始まり、ティンパニー、キーボード、ギター、トランペットと次々に音が重なり、「ハッ!」という全員の掛け声が上がった時にはボルテージが最高潮に達していること間違いなしです。「行くべき道はそう 君の踏み出した先にある」ひたむきながらも背中で語る歌詞、心臓にガツンとくる男臭さが抜群なロックな曲調。
余計なものは背負わず、余計なことは言わず、楽器1本だけで関ジャニ∞が語る「かっこよさ」は誰にも真似できない、唯一無二のものだと思っています。

 

12.青春のすべて

いきものがかり水野さん作詞作曲、本間昭光さん編曲。関ジャニ∞が一年かけて撮影した春夏秋冬の映像に曲を書いてくださったものです。こんなにも走馬灯のようにMVの情景が浮かんでくる曲がありますか。イントロから懐かしさが滲んで思い出に浸ることのできる、何処か寂しくて切ないピアノの始まりが印象的です。
春、夏、秋、冬、幾度も一緒に過ごしてきた時間を振り返るように、その時の楽しさも辛さも悔しさも悲しさも1音1音に丁寧に乗せていくように、関ジャニ∞のユニゾンが響きます。大サビ前の間奏部分、音数は多く広がりがあって壮大なはずなのに、拭い切れない切なさが残っていてそのアンバランスさが涙を誘う箇所です。
関ジャニ∞にとっての青春は、学校に通ったり友達と何かをして遊んだり部活したり恋したり、そういうこととは少し懸け離れていたはずです。上手くいかず辛い時期や、大切なものを失ってしまった時、方向性を変えようともがいた時期、大人になって変わった事、何も変わらない事、全てを全員で共有してきたからこそ歌える歌なのだと思います。そうして過ごしてきた季節の「これまで」を忘れたいわけじゃない、「これから」を想って生きたいんだと歌う、関ジャニ∞の新たなる道への決意表明のような部分。若かった季節が終わったから関ジャニ∞の青春が終わった訳ではなく、笑って泣いてもがいて苦しんで何かを得てまた成長していくたび、そうしていく限り、関ジャニ∞の青春のすべてはずっと続いていく。これまでもこれからも、出来る限り関ジャニ∞の青春を見ていたいと思っていたら、歌詞に代弁してもらっていました。「君に出会えてよかった 僕は明日を生きている」、「僕らがみたのは青春のすべて」。昨日見たものも今日見るものも明日見ていくものもすべて、関ジャニ∞の青春です。

 

13.生きろ(通常盤のみ)

「広がる 広がる」の歌い出しが特徴的な渋谷さん作詞・作曲・編曲の1曲。元々今回のアルバム用に作った訳ではなかったとエピソードがありましたが、このアルバムに入るべくして入ったような曲ではないかなと思います。
「誰でもないあなたを生きて 生きて 生きて」というシンプルでストレートで、嘘も建前もかっこつけもない、突き刺さる歌詞。ミディアムテンポで、すっと入ってくる柔らかくて暖かくて強い曲調。
あなたが大切とか、夢を持って欲しいとか、愛してるとか、ずっと一緒とか、アイドルが歌う言葉は数多とありますが、その中でも「生きて欲しい」が一番、何の曲解もなく真っ直ぐ聴いている人の心に届く言葉なのではないかと。
この曲にはメンバー7人の音しか入っておらず、渋谷さんが最低限のコードだけをプレイした音源をメンバー全員に「好きにやってくれ」と渡し、それぞれが考えて出来た曲というエピソードもある、それだけで十分お腹いっぱいになる曲です。
渋谷さんのこだわりとして「ライブの立ち位置通りに音を置いた」というのがありますが、本当にイヤホンで聴くと世界が変わります。ベースはLから、ギターはRから。ドラムは中央位置なのでLR大体同じ大きさで聴こえます。当然メンバーの声もLとRで聴こえやすさが全く違います。先日のジャムでも音を立体的に表現する方法として紹介されていましたが、立体的になる事によりメンバー1人1人の声が別の場所から聴こえるので、ハモりや音も一つ一つが響きやすく、また音も混ざりが良い気がします。
強くて優しい、関ジャニ∞のメッセージが7人だけの音で届きます。

 

14.JAM LADY(通常盤のみ)

Never Say Neverを作った安田くんが、今度は正反対の方向へ放つ盛り上がり必至のパーティーチューン。この人の才能は底なしかと思います。ここでもまたライミングが多用されており聴きどころ満載です。最初から最後まで一曲丸々、言葉遊びが凄い量で展開されています。冒頭の1例です。
Are U ready?(a-u-e-i)
多分ヘーキ!(a-u-e-i)
What's your type?(a-u-u-a-ai)
あーゆーLADY!(a-u-e-i)
LOVE U 年中(a-u-e-u)
多分ゲッチュー(a-u-e-u)
WHAT! うわぁtype!(a-u-u-a-ai)
JAM LADY!(a-u-e-i)
ここまで韻を踏んでいると耳心地が良いのは間違いありません。何回も聴きたくなる、曲が終わったらまた再生してしまう中毒性があるのも安田くん曲の魅力の一つ。曲の展開もめまぐるしく変わるのですが、複雑で遊び心たっぷりのメロディーが常に刺激してくるので立ち止まる隙を与えません。
大サビ前もライミングが凄い箇所です。
偉業成した(a-i-a) カメハメハ大王(a-e-a-e-a-a-i-o-u)
美女こないだ(a-i-a)カメあげた相棒(a-e-a-e-a-a-i-o-u)
ミッションこなした(a-i-a) 我々は代表(a-e-a-e-a-a-i-o-u)
日本明日(a-i-a) アゲアゲだ最高!(a-e-a-e-a-a-i-o-u)
曲冒頭の「Are U ready?」から「JAM LADY!」までのバックにはドラムのみしか入っていませんが、曲終わりの同歌詞部分のバックには1番Aメロ歌い出しまでに流れているメロディーラインが使われています。曲が終わりに向かうにつれてどんどん高揚させられるのは、こういう効果もあるのかなと。水しぶきの音で曲が終わるのも一夏感が出ていて素敵です。

 

15.Traffic(通常盤のみ)

作詞、作曲、錦戸亮。その期待を裏切らない、寧ろ膨らんだ期待を大きく飛び越えてくるとんでもない1曲です。ギターのみのシンプルかつ鋭いイントロからドラム、ベースと音が足される事で増幅する期待感がメロディーにがっつり乗せられています。Traffic、その名の通り行き交う車の流れや加速を感じる疾走感のある始まりと、噛み付くような安田くんの歌い出し。ベースもスラップを多用していたりと曲調も細部までオシャレです。2番Aメロ渋谷さんのパートで音数を減らしてストリングスのみにしているのが、緩急があってグッと引き込まれます。サビ前にドラムを細かく刻むのも聴いている人の高揚感をどんどん高めるようで、曲の終わりへ向かって加速していく1ミリの隙のないメロディーラインが至高。
痺れる曲調もさることながら、歌詞の言葉選びに亮ちゃんのセンスが光る気がしています。「Beep! Beep!」というクラクション音の英訳、「お城みたいなホテル」名言を避けたようで実はストレートな表現、「ハコスカ」という初代スカイラインGT-R(日産のスポーツカー)の愛称、「予想時刻がまた一分 delay」車内ナビの到着予想時刻が遅れていくほどの渋滞を間接的に表現、「握るステアリング」ハンドルという表現ではなくステアリング、ハンドルはただ単に持ち手の事を指しますがステアリングは乗っているものの進行方向を任意に変える舵取装置の事。この曲を人生においての進まない苛立ちや葛藤に置き換える事で、彼らが目指す遥か先にあるはずのゴールまで、ハンドルではなくステアリングを握るという表現がしっくり来ます。
後戻りなど出来やしない事はスタート地点で知っていた、選んできたルートは間違っちゃいない、この流れに置いて行かれないよう加速していく、隣のレーンのずっと先に見えていたハコスカと並び、駆使した右足でアクセルを全開に踏み追い越して、遥か先にあるゴールまでステアリングを離すわけもない。これが関ジャニ∞に当てられたものだとしたら、こんなかっこいい意思表示、他にありますか。
亮ちゃんが今このタイミングでこの曲を関ジャニ∞に書いたこと、本人にしかその意図は分かりませんが、今の関ジャニ∞だからこそTrafficを歌えるのでは。そう思ってしまう1曲です。1番サビ最後でI'll just keep driving on moving forward.(ただ前へ向かうために進み続けるだけだ)と歌っていたものが、曲の最後にはI'll just keep driving on going on my way.(ただ自分達の道を行くために進み続けるだけだ)へ。前も後ろも右も左も方向は関係なく、自分達の道を行くために走り続けるだけだという最高にかっこいい終わり方です。どこかかっこ悪くて、でも最高にかっこいい、そんな世界観と細部にまで散りばめられたセンスに骨抜きになる1曲。必聴です。

 

16.ノスタルジア(初回Aのみ)

年下4人組のユニット曲です。田中秀典さん作詞、蔦谷好位置さん作曲および編曲。曲には景色を想像させる力があると思いますが、この曲ほどそれが強いものってなかなか無いのではないかと思います。再生して一瞬で満点の星空に囲まれた気がしました。真っ暗な空に点々と見える星に、4人の歌声が響いてとても心地良いです。以前に関ジャムで蔦谷さんが「亀田さんがブレスの音量を上げるアレンジをしている」という話をされていましたが、ノスタルジアの1番サビ前の安田くんのブレスが他の箇所よりもはっきり聴こえるので、ここもこだわりの一つなのかもしれません(2番サビ前のブレスもやや聴こえますが)。ブレス音が聴こえると、その曲の臨場感がグッと上がる気がします。
「変わってゆくって 分かってたあの日」
「僕ら 走れるだけ駆け抜けた」
「強がって さすらって 戻れない場所で」
「今日も“その続き”を歌ってる」
大サビ前の歌割を4人で交代する部分が1番の聴きどころかと。センターのスタンドマイクを奪い合うような交代ではなく、曲の終わりに向かって4人が物語を紡ぐように静かにバトンを渡して行っているような、そんな丁寧な音の繋ぎ方です。
「進んで 迷って 立ち止まる時 君の声が道標になる」「連れてって 連れてって 夜明けの向こうで 出会う“ひとつだけ”を信じてる」
過ぎ去った季節や気持ちを想い、憂い、そこから進めずにいる感情をこんなにも手に取るように伝えられる力がすごい。自分がその曲の中にいるような気分にさせられるのも、この曲が持つ力の為せる技なのかと思います。

 

17.Answer(初回Bのみ)

作詞:横山裕渋谷すばる村上信五。作曲:渋谷すばるという、ついに待ちに待った3人のユニット曲が出てきました。感無量。
指鳴らしから3人の楽器ソロを経て、ジャジーな雰囲気で始まるおしゃれな楽曲。
渋谷さんが制作段階において「3人で」作ることに強く拘った曲とのこと。ラジオで「歌詞は絶対3人の歌詞が良かった。3人の言葉が無いと嫌だった。3人で歌詞を書きたいですと言った。」と話していましたが、そのエピソードだけでライフが0です。
3人が示し合わせた訳でも話し合いをした訳でもないのに、共通の認識を持って同じメッセージを歌詞として選定してきた事、3人の曲を楽に歌いたくなくてわざとキーを高めに設定した事、3人の化学反応・3人の曲になったので大満足だという事、その3人の初のユニット曲のタイトルが「Answer」だという事。
「見えてきたもの 見えなかったもの 無駄なもの削ぎ落として 軽くなったから 重いもんでも 少しは背負えるかな」
「守るべき未来のため 嫌われ者を選んだ」
「進むべき道のため 靴を汚して街に出る」
「そこから次のステージへ」
グループが売れる為に前へ出る為に嫌われる道も選んで靴も汚して生きてきた3人が、今無駄なものを削ぎ落として「軽くなったから重いもんでも少しは背負える」って、腹を決め過ぎていて言葉が出ません。そうして今までやってきた事が3人の「答え」なのだとしたら、今このタイミングで3人の思いが同じで居るという事には大きな意味があるのだと思います。
ちなみに、雛ちゃんが考えてきてタイトル案にはならなかった四字熟語ですが、歌詞カードに載っていなかったので聴いてみたところ、把手共行(はしゅきょうこう)、不昧因果(ふまいいんが)、一行三昧(いちぎょうざんまい)でした。禅語と仏語です。意味は、把手共行→手に手を取って同じ志を持ち、同じ思いを抱いて歩む、不昧因果→因果をごまかさず、ありのままを受け入れる、一行三昧→一つの事に専心し邁進すること。
これを3人の曲に持ってきた雛ちゃんの思いが伺い知れて非常に泣きそうになりました。
同じ覚悟を抱く3人の次のステージが、見えてくるような、そんな1曲です。やはりこの3人、揃うと誰よりも強い三角形。

 

 

 

 

「ジャム」は「関ジャニ∞濃縮還元」です。


このアルバムにおいての関ジャニ∞は素材です。材料です。勿論そのままでも美味しくて生でも食べられるのですが、調理するともっと美味しくなる。煮てもいいし焼いてもいいし蒸してもいいような、そのシーンに合った関ジャニ∞を、楽曲提供アーティストや本人達が調理して作り変えていく。だからここまで見た目や第一印象は全く異なる曲が揃っているのに、フタを開けたら、食べてみたら噛んでみたら、全部関ジャニ∞なんです。全部異なるのに、全部関ジャニ∞「らしい」んです。


一瞬も同じ顔は見せてくれないけど、どこを切り取ってもその「らしさ」を感じられるアルバムってなかなか無いのではないかと思います。

名盤です。

 


この多種多様な関ジャニ∞が詰まった「ジャム」のフタを開けてみて欲しい、そんなアルバムです。